DISSIDIA SAGA2 サンプル1



 日が高く上った時間だからか、店じまいをしたスペースもあったが、まだまだ大部分の露店では衣服やカバン、文房具や食器など生活必需品からガルバディア各地の名物料理まで幅広いものが売り買いされていた。
「すっげ……」
 首都の市場に勝るとも劣らない活気に圧倒されたようにバッツが立ち止まった。
 右を向いても左を向いても、前を見ても後ろを見ても人込みがある。立ち尽くすバッツを邪魔くさそうに後ろから来た人が追い越していき、その度に人だかりがその容量を増す。
 よくよく観察すれば、地元の人間が多いのか、よどみない足取りで目的の露天へ向かう人間が多い。
「バッツ、とりあえず歩くぞ」
 なかなか歩き出そうとしないバッツを見かねたフリオニールが後ろから肩を押すようにして促す。
「なぁ、ここ、どんくらいなんだ?」
「ここはそんなに大きくないッス!店の多さで言うなら大通りに出た方が確実に多いし。でも、安さを優先させるならこっちの方!」
「大通りの方が地代なんかが余計にかかるから、どうしても割高になるんだ。それに観光客相手の商売をしている店も多い。ここで寝起きしているとどうしてもこっちに足を運ぶ頻度が多くなるな」
「ふーん。どおりで慣れた足取りの人間が多いと思った」
「観光客が全くいないって訳じゃないけどな」
「で、どうするッスか。この時間なら軽食で済ませるってのもありだと思うけど」
 お腹がすきました。そう顔に書いたティーダは、フリオニールの視線がなければ食べ物を扱う露天に真っ先に駆けだしそうであったが、その気持ちはバッツも同じである。朝ごはんは食べてきたが、それでもかなりの距離を歩いたこともあり、小腹がすいていた。
「そーだな。そこらの露店で持ち運べるやつ買って、喰いながら見て回るってのはどーだ」
「バッツがいいなら、オレは構わない。フリオニールはどうッスか」
「俺も別にかまわないが。バッツは本当にそれでいいのか?」
 店に入ってしっかりとした食事を取らなくていいのか、その問いかけにはにへらと崩れた顔が向けられる。
「いいって、いいって。お堅い店に入ってもそもそ食うより、青空の下で歩きながら食う方が絶対美味いって」
 んで、実はあそこのが気になってるんだけど。
 バッツが指さす先には、炙り肉を薄くそぎ切りにし野菜類と一緒に、発酵させてから焼きあげた生地で包んで食べる食べ物を販売している露店がある。
「食べた事がないのか?」
「何度か食べた事はあるけどさ。この手のものって、土地土地で味が違うじゃんか」


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